湊かなえさんの『高校入試』を紹介します。
衝撃のラスト
読者への問題提起
【1行あらすじ】高校入試(著者 湊かなえ)
タイトル:『高校入試』
著者:湊かなえ
あらすじ:進学校である県立橘第一高校の入試が妨害される!?ネットの裏掲示板には入試の様子が次々と書き込まれる。犯人は誰?そしてその目的はー?
【こんな人におすすめ】 高校入試(著者 湊かなえ)
この本は下記のような人におすすめです。
・学園ミステリーを楽しみたい人
・ドラマ『高校入試』を見たことがある人、見たことがない人
・SNSの有り方について考えたい人
高校入試の準備~試験~試験後の採点の様子がわかります。
教職員の視点からも描かれているので興味ある方にはおすすめです。
また、小説版の『高校入試』は、ラストがドラマ版とは違う着地点となっています。
そのためドラマを見たことない人はもちろんですが、見たことがある人でも楽しめる小説になっています。
【感想】 高校入試(著者 湊かなえ)
様々な登場人物の視点から描かれる高校入試
この小説は、フジテレビ系列で放送されたドラマ『高校入試』の脚本をもとに書かれた小説です。
登場人物は県立橘第一高校の職員、橘第一高校の生徒、入試を受ける受験生とその親、元受験生…です。
主人公が一人いてストーリーが進んでいくという小説ではなく、
登場人物一人一人の視点からストーリーが進んでいきます。
そのため、この先生はこのような思いを背負っているというようなそれぞれの登場人物の心情が伝わってきます。
文字で心情を読み取ることができるのは小説ならではですね。
各登場人物の心情が描かれているため、全員が怪しく思えてきます。
県立橘第一高校
舞台である県立橘第一高校は県有数の進学校で、
地元では有名な大学に進学するよりも橘第一高校に入学していることの方が価値があるとされています。
この辺りじゃ、東大よりも一高なんだよ。地元一の進学校、一高に合格すれば親は万々歳。そのあと、東大行こうがプータローになろうが、関係ないの。
湊かなえ『高校入試』株式会社KADOKAWA(平成28年3月10日 初版発行)p25
これは一高出身の宮下先生が新任の杏子先生に一高について説明するときのセリフです。
教師の中にも一高出身者が多く、一高卒業生であることに誇りを持っている様子が描かれています。
私はこの設定を読んでなかなか突飛な設定だなと思ったのですが、地域によってはこのような地域もあるのでしょうか・・?
地元以外の人にとっては、理解ができないだろうと思いました。
地元で生活するには一高出身か一高出身ではないかは重要だと思いますが、卒業後外で生活するのであれば関係ないですよね。
この一高出身か一高出身ではないかについての考え方も、この小説の重要なポイントとなっています。
ネット掲示板に実況中継
登場人物一人一人の視点からストーリーが進んでいくのと同時に、インターネットの掲示板の投稿の様子も描かれています。
『高校入試について語ろう!』16:00
湊かなえ『高校入試』株式会社KADOKAWA(平成28年3月10日 初版発行)p7
試験の1週間前から投稿が開始されます。
入試当日、試験内容がこの掲示板にアップされていきます。
入試の内容が外部に漏洩するこの時点で問題ですが、実況中継は試験後にも続きます。
このネット掲示板への匿名での書き込みも
近年日本テレビのドラマ『3年A組』でもSNSへの匿名での書き込みが取り扱われ話題になっていましたが、
この『高校入試』もSNSの使い方について問題を投げかける内容になっていると思います。
高校入試をテーマにしたフィクションのミステリー小説ですが、
SNSへの使い方や入試の有り方等の社会問題への問題提起もしている社会派小説の一面もあります。
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