井上真偽さんの『探偵が早すぎる』を紹介します。
スピーディーな展開
予想外な結末
テーマと構成が面白い
【1行あらすじ】探偵が早すぎる(著者 井上真偽)
タイトル:『探偵が早すぎる(上)・(下)』
著者:井上真偽
あらすじ:5兆円の遺産を相続した女子高生の一華は、一族に命を狙われる。使用人の橋田は身を守るために、事件が起きる前に計画を見破る探偵を雇う。探偵が早すぎるミステリー!
【こんな人におすすめ】探偵が早すぎる(著者 井上真偽)
この本は下記のような人におすすめです。
・普通のミステリー小説に飽きた人
事件が起きてから探偵が解決するストーリーではなく、事件が起きる前にトリックを見破り事前に防いでいくというストーリーは、
ちょっと違ったミステリー小説を読みたいという人におすすめです。
日本テレビ系列で放送されたドラマ版では探偵の千曲川光を滝藤賢一が演じていましたが、小説版の千曲川光のイメージは全く異なります。
ドラマ版を見た人でもまた違う角度で楽しめるのではないかと思います。
【感想】探偵が早すぎる(著者 井上真偽)
主人公が気づかないうちに事件解決
主人公の一華はどこにでもいるいたって普通の女子高生という印象です。
遺産目当ての親族に命を狙われるという状況にありながら人の悪意に気づかない天真爛漫な一面があります。
逆に言うと、事件が起きる前に計画を見破り犯人が特定されるため、主人公はこの性格でいられるのかなと思いました。
一華の身を守るために、使用人の橋田から仕事の依頼をされた探偵(?)は事件が起きる前にトリックを見破り犯人を特定します。
まず「事件が起きる前にトリックを見破り犯人を特定する」という設定が珍しく、とても面白いです。
この探偵ですが、文庫版で上、下巻あるうちの上巻の最後まで主人公の一華の前に姿を現しません。
主人公の前に姿を現すことなく、次々と事件を未然に防いでいく展開とその小説の構成が読者を物語の中に惹きこみます。
畳みかけるように起こ…らない事件!
一華のお父さんは 7人兄弟姉妹で、一華は、一華から見ると伯父、伯母にあたる人物や従兄弟たちから遺産目当てで次から次へ畳みかけるようにと命を狙われます。
上下巻を通して、大小12回ほど立て続けに一華を嵌めようと各人物が計画し実行に移そうとします。
実行に移そうとするのですがそこに探偵が立ちはだかり、実行される前にトリックを見破るのです。
よって、事件は起こ…らない?ミステリー小説になっています。
一華を狙う伯父や伯母、その協力者たちも個性が豊かです。
私が一番印象的だった事件は、伯母の朱鳥の娘メルリが児童養護施設を抜け出した小さな兄妹を利用し一華を狙うものです。
ハロウィンイベントにまぎれ一華を狙おうとしますが、そこはまだ幼い兄妹のため予想外のことが起きます。
また一華も予想外な行動を取るので、一体どうなるんだろうと展開が楽しめました。
一華の友達の2人、使用人の橋田もハロウィンイベントらしく活躍します。
スカッとするセリフ回しが気持ち良い!
探偵はトリックを見破るときに、歯に衣着せぬセリフ回しで犯人を追い詰めていきます。
私が誰だってそんなことはどうでも良い、さあ種明かしをしようじゃないかと犯人が仕掛けた罠を解き明かしていく様は、読んでいて痛快です。
神のものは神に、カエサルのものはカエサルに―仕掛けられたトリックはその張本人に仕返すという『トリック返し』が私の流儀だが、…
井上真偽『探偵が早すぎる(上)』株式会社講談社(2017年5月17日 第1刷発行)p138
目には目を歯には歯を精神をもつ探偵が犯人たちにどのようなトリック返しを行うのか、
そして意外なラストにも注目です。
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