楡井亜木子さんの『夜が闇のうちに』を紹介します。
中毒性が高い恋愛小説
続きが気になる
恋愛について考えさせられる
【1行あらすじ】夜が闇のうちに(著者 楡井亜木子)
タイトル:『夜が闇のうちに』
著者:楡井亜木子
あらすじ:ロックバンドの一員として活動する女子高生のユーリは年齢を理由に失恋。そんなときライブハウスの支配人をしている三原に助けられ、徐々に距離を縮めていく。年の差恋愛小説。
【こんな人におすすめ】 夜が闇のうちに(著者 楡井亜木子)
この本は下記のような人におすすめです。
・年の差恋愛小説を読みたい人
・『チューリップの誕生日』を読んだ人
ユーリと三原さんには悲しい出来事が起こります。
ネガティブな気持ちがあるときに読むことはあまりお勧めしません。
また一部暴力的な描写もあります。
お互い傷つけ合いながら、助け合いながら関係を深めていく、どこか痛くて、愛するということについて考えさせられる恋愛小説です。
なお、『夜が闇のうちに』は『チューリップの誕生日』の続編のため、時系列で読みたい人は『チューリップの誕生日』から読むことをお勧めします。(『夜が闇のうちに』単独で読んでもストーリーが成立していますので、問題ありません。)
【感想】 夜が闇のうちに(著者 楡井亜木子)
「夜が闇のうちに」ということ
読了後、感傷に浸っているときに、なぜタイトルが「夜が闇のうちに」なのだろうかと思いました。
“~のうちに”という言葉は、~の間に〇〇をするという意味で使われます。
この小説はユーリの視点から描かれているので、夜が闇のうちにユーリは何をしたいのだろうと考えました。
結論から申し上げますと、ユーリは成長したいのかなと、私は考えました。
ユーリは15歳の高校1年生で、23歳のフジシマに年齢を理由に別れを告げられ気にしています。
あたしは、十五歳だ。それは誰の責任でもないし、誰が変えることも出来ない。
楡井亜木子『夜が闇のうちに』ジャイブ株式会社(2008年11月16日 初版発行)p12
三原さんとの関係を深めていく中でも若すぎる年齢を意識しているように感じます。
バンドのライブ活動は夜がメインで、ステージ上では年齢は関係のない世界です。
またユーリは、バンドメンバーの子どもが生まれたときに、子どもがぱっと大きくなることに期待しています。
ステージ上と同じように、夜の光が当たらないうちは年齢を気にせずにいられて、
あっという間に大きくなったねと子どもが言われるように、一晩で経験を得れないか、追いつけないかと考えてるのかなと思いました。
年齢は埋められないことはわかっていてもどこかで成長したいと願っているのではないかなと思いました。
高校生のユーリとライブハウスの支配人の三原
この小説は15歳のユーリが23歳のフジシマに年齢を理由に別れを告げられ、フジシマの家を出て、行き場がなく彷徨うところから始まります。
そんなユーリに手を差し伸べるのが、ライブハウスの支配人である三原です。
ユーリはガールズロックバンド「チェルシー・ガール」のメンバー1人が産休の間、一時的にロックバンドの一員として活動しています。
ユーリが出演するライブハウスの支配人が三原なのですが、三原はユーリにベースが向いているとロックバンドで活動することを後押しした人物でもあります。
三原の年齢は40歳で、ユーリと比べるとだいぶ大人です。
この小説のポイントはやはり年齢です。
年齢を理由に失恋したユーリが更に年の差がある三原と関係を深めていきます。
15歳からした40歳なんてもう・・・そんなことあるのかななんて思ってしまいますね。
ユーリが自分の年齢について思い悩んでいる様子がところどころ描かれています。
年齢が関係ないプロとして大人たちと活動する中で、15~6歳なのに大人として扱われたり、時には子供として疎んじられたりしながら、
自分の立場を模索している様子が胸に刺さります。
私がこの二人の関係をそばで見ていたら、どちらも傷つけあってしまう関係に見えたので、止めるかもしれないと思いました。
読み終わった後もこの後の二人が心配になってしまいます…。
ただ、自分たちの世界がある二人なので、外野が何を言ってもお互いを尊重しつつ、自分たちがしたいように付き合いそうな気もします。
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