塩田武士さんの『女神のタクト』を紹介します。
テンポが良い
元気が出る
登場人物のキャラが濃い
【1行あらすじ】女神のタクト(著者 塩田武士)
タイトル:『女神のタクト』
著者:塩田武士
あらすじ:仕事と男を失った30歳の矢吹明菜は旅行中に出会った老人に、ある男を神戸にあるオーケストラの楽団へ連れてくることを依頼される。無理やり男を引っ張っていた先に待っていたのは破綻寸前のオーケストラ楽団で…!?
【こんな人におすすめ】女神のタクト(著者 塩田武士)
・オーケストラや音楽がテーマの小説が好きな人、興味がある人
・誰かに背中を押してもらいたい人
・笑いあり、涙ありの小説を読みたい人
この小説は、オーケストラや音楽がテーマの小説が好きな人や興味がある人にオススメです。
小説内にはクラシックの曲もいくつか出てきますので、曲を聴きながら読んでも楽しめます。
ある一つの出会いをきっかけに別の出会いを生み、ストーリーが進んでいく小説です。
人間味のある主人公や登場人物たちに勇気づけられたい、励まされたい人にオススメな作品です。
【感想】女神のタクト(著者 塩田武士)
1人旅行中の海岸で出会ったのは?
主人公の明菜は清廉潔白な女性ではなく、見ず知らずの人にもグイグイ話しかけ、時には強引に物事を進める横暴な一面を持つタイプの女性です。
体に良いヨーグルトや健康器具を売る仕事をしていましたが、そんな仕事に閉塞感を覚えるようになりました。
それからは交通費を水増し請求したり勤務時間にパチンコをしたり、仕事関係の人と不倫状態になったり…
首同然で会社を退職となりました。
そんな明菜が旅先の海岸で出会ったのは最新の音楽プレイヤーで音楽を聴く着物姿の老人「白石麟太郎」でした。
主人公の明菜と白石麟太郎の子気味いい会話が面白い
この小説は明菜と白石麟太郎の出会いから物語がスタートするのですが、
見知らぬ者同士なのに呼吸の合ったテンポ良い気軽い会話が面白いです。
破綻寸前のオーケストラ楽団「オルケストラ神戸」
明菜は白石麟太郎に依頼され、トラウマにより楽団で指揮をすることを避けていた一宮拓斗をオルケストラ神戸へ連れてきます。
オルケストラ神戸は白石麟太郎が私財を投じて作ったオーケストラ楽団ですが、
会計担当の職員がお金を持ち逃げし、常任の指揮者との契約も切れ運営が破綻寸前の状態になっていました。
オーケストラ楽団の運営について知ることができる
この小説を読むとオーケストラ楽団の運営やどのように公演を行っているのかを知ることができます。
オーケストラにも連盟に所属している楽団とそうではない楽団、連盟に所属するにはいくつかの条件があることなど、知ることができました。
オルケストラ神戸の職員、団員はとても個性が豊かです。
主人公たちの周りを彩る個性豊かなオーケストラの職員、団員
オーケストラを運営する職員は、
パンチパーマでかなり押しが強い事務局長の別府、
リーゼントでステージマネージャーの仕事に誇りをもつ松浦、
アイドル好きで仕事にやる気がない広報担当の辻と一癖も二癖もある人達の集まりです。
この職員たちと明菜がどのように一緒に仕事をしていくのかがこの小説の見どころです。
タイトルは伏線!?「女神のタクト」
読み終わった後、ふとタイトルを目にした瞬間…
「女神のタクト」…
「女神のタクト」!?そうゆう意味か!!と思いました。
意味を知ると怖いタイトル?
ストーリーは笑いあり、涙あり、ハートフルに終わります。
前の仕事にやる気がなく閉塞感を覚えていた明菜は、拓斗に出会いオルケストラ神戸の面々と関わることで、
自分の過去に向き合い、前に進んでいきます。
そんな明菜の姿を見ているとどこか励まされるような気持ちになりました。
タイトル「女神のタクト」はこの小説そのもので、苦笑いをしたくなる怖さと言えば良いのでしょうか(笑)
ちょっと怖い(笑)ような、でも子気味良いアクセントがきいたタイトルです。
読了後にぜひこのタイトルのことを思い出していただきたいです。
コメント