宮部みゆきさんの『過ぎ去りし王国の城』を紹介します。
勇気がもらえる
考えさせられる
心が痛くなる
【1行あらすじ】過ぎ去りし王国の城(著者 宮部みゆき)
タイトル:『過ぎ去りし王国の城』
著者:宮部みゆき
あらすじ:中学3年生の尾垣真はヨーロッパ風の古城の絵を拾い、その絵の中に入れることに気づく。同級生の城田珠美と漫画家のアシスタントをしているパクさんと一緒に、城に居た少女の正体を探ることになり…。
【こんな人におすすめ】過ぎ去りし王国の城(著者 宮部みゆき)
この本は下記のような人におすすめです。
・冒険小説が読みたい人
・いじめや虐待、家族、友達関係について考えたい人
まずは純粋に冒険小説が読みたい人にオススメの作品です。
冒険小説と言っても、ワクワクというよりも次に何があるか分からない怖さのドキドキが強いです。
人の深層心理を描いた作品のため、トラウマになりそうな世界観の描写が出てきます。
また、いじめや虐待、家族、友達関係について描かれた作品でもあります。
ファンタジーでフィクション作品ですが、自分自身や周りの人たちに目を向かさせてくれる作品です。
【感想】過ぎ去りし王国の城(著者 宮部みゆき)
ファンタジーという言葉では収まらない
この小説はあらすじだけを読み、ファンタジー小説なのかな?と思いながら読み進めると、
全く異なる小説だということに気がつきます。
人間の深層心理を描いた小説
剣や魔法が出てくるファンタジー小説ではなく、人間の深層心理を描いた小説となっています。
主人公の尾垣真は学校ではいじめを受けている訳ではないが空気のような存在で淡々とした性格の少年です。高校を推薦で早々に合格を決め、親の手伝いで銀行に行ったときに城の絵が描かれた紙を拾います。そこに自分自身の絵を描くことで絵の中に入ることができることに気づきます。
絵の中に入る精巧な絵を描いてもらうために、同級生でハブられていて自分と同じく友達がいないが絵を描くことが上手い城田珠美に声をかけるのです。そして絵の世界で城の中に女の子の姿を見つけ、また漫画家のアシスタントをしている大人のパクさんとも出会い、一緒にその少女の正体探ることとなります。
この城の正体、そして少女の正体こそがこの小説の重要なキーになっています。
誰もが登場人物の誰かになり得ると気づかせてくれる小説
ファンタジー小説と思って気軽に手に取ると、その内容の重さに驚くことになるでしょう。
ただ、この小説に描かれる人間関係により、誰もが登場人物の誰かになり得ると気づかせてくれる小説になっています。
同時に人間の深層心理はファンタジーより怖いと思ってしまう小説でもありました。
『かがみの孤城』との共通点・相違点
『過ぎ去りし王国の城』を読む少し前に、『かがみの孤城』を読みました。
内容は全く違うのですが、小説内で取り扱っていること(テーマ、世界観)が似ているなと感じました。
◎共通点
・お城が登場する
・学校でのいじめや家族、友達との関係がテーマとして扱われている
・〇〇世界
◎相違点
・『過ぎ去りし王国の城』では大人(パクさん)も子供たちと同じ立ち位置で登場する
・『かがみの孤城』では城で過ごすことにルールが存在するが、『過ぎ去りし王国の城』ではない
共通点の3つ目、「○○世界」については、実際に読んでみて確かめてほしいです。
『かがみの孤城』については、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
【PickUp】『過ぎ去りし王国の城』を読んだ人にオススメの小説
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