宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』を紹介します。
リアリティがある
考えさせられる
読みやすい
【あらすじ】推し、燃ゆ(著者 宇佐美りん)
高校生のあかりは、小さいころ観劇したピーターパンの映像を、再びDVDで見て以来、ピーターパンを演じていた”上野真幸”に魅かれ、推している。体の不調があり、勉強も苦手だったあかりにとって”推し”は自分の背骨のような存在だ。その”推し”が人を殴ったらしい。”推し”が炎上したとき、あかりは―?
【こんな人におすすめ】推し、燃ゆ(著者 宇佐美りん)
この本は下記のような人におすすめです。
・推しがいる、熱中する趣味がある人
・推し活文化に興味がある人
この本は推しがいる人や熱中する趣味がある人にオススメです。自分だったらどうするだろう?どうなるだろう?を考えながら読むことができます。また推し活をしている主人公に共感を抱くこともできます。
主人公がどのように推しを応援しているかや依存していく様子が描かれています。推し活という文化に興味がある人にもオススメです。
【感想】推し、燃ゆ(著者 宇佐美りん)
考えるきっかけを与えてくれる小説
推しが炎上したとき、あなたならどうしますか?
まさにこれを問いかけてくる小説だったと思いました。
推しが炎上したときにどうするか考えるきっかけをくれる小説
推しが炎上したとき、応援し続けるのか、非難するのか、推すことを辞めるのか…。推しが人間で、芸能界に身を置いている限り、SNSで炎上が起こる可能性はあります。また自分の推しではなく、家族や身近な人の推しに何かあった場合にどうするべきかも考えさせられる小説でした。
私自身、記者会見が行われるほどではありませんが、推しが炎上したことや、炎上がきっかけではありませんが推しが芸能界を引退した経験があります。私もあかりと同じくどちらかというと解釈系のファンだったので、炎上したときの心情としては、推しらしいなというところでした。炎上の内容によるのだと思うのですが、他人を攻撃するようなことが起きてしまった場合同じ感情を抱くのかはわかりません。
推しが芸能界を引退したときは、一番は自分の力不足ともっと現場に行けば良かったという後悔をまっさきに感じました。私を支えていたもののが無くなったとも思いました。推しが引退して数年経ちますが、ふとした時に推しのことを思い出します。
この小説を読んで改めて思った私の結論は、
推しは複数いた(ある)方が良い
ということです。1人に、1つに、依存してしまうとショックは大きいです。特に推している対象が人間の場合は何があるか本当にわかりません。推しが複数いれば、その推しを超える存在は出てこなくても少しは心の平穏が保たれます。
タイトル『推し、燃ゆ』のインパクト
この「推し」と「炎上」という概念はここ数十年内に生まれたものだと思います。
「推し」とは、一例として下記のように定義されています。
推し(おし)とは、特定の人物やキャラクター、作品、商品などに対して、熱心な支持や愛情を示す行為やその対象を指す言葉である。
辞典・百科事典の検索サービス – Weblio辞書国語辞典 実用日本語表現辞典(https://www.weblio.jp/content/%E6%8E%A8%E3%81%97)
次に「炎上」とは、一例として下記のように定義されています。
発信した情報が大勢の受信者の怒りを買い、発信者のブログやSNSといったネット上のアカウントに大量のコメントが送られるなどすることを意味するネット用語。
辞典・百科事典の検索サービス – Weblio辞書国語辞典 実用日本語表現辞典(https://www.weblio.jp/content/%E7%82%8E%E4%B8%8A)
この炎上のことを燃えると言い、推している芸能人が炎上した話ということで推しが燃えた→「推し、燃ゆ」となっています。
近年、「推し」という概念が身近になってきており、このタイトルは本を手に取りたくなるタイトルだなと思いました。炎上、燃えることを「燃ゆ」としたところも、語感が良くてインパクトがあるように感じました。
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