歌田年さんの「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」は、シリーズ1作目「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」とは異なり短編集です。
短編のどの作品も、読者の感情を揺らすミステリー小説となっています。
この小説が気になっている人に、各短編のあらすじと実際に読んだ感想をお伝えいたします。
また、「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」に興味がある人におすすめな他の作品も紹介します。
感情が揺れる
シリーズ1作目より面白い
知識がつく
【概要】紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪(著者 歌田年)
タイトル | 紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪 |
著者 | 歌田年 |
発行所 | 株式会社宝島社 |
発行日 | 2022年3月23日第1刷発行 |
収録内容 | 猫と子供の円舞曲/誰が為の英雄/偽りの刃の断罪 |
「このミステリーがすごい!」大賞、受賞作「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」の続編です。
「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」は全3作の短編小説です。
【こんな人におすすめ】紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪(著者 歌田年)
・感情を揺らすミステリー小説を読みたい人
・シリーズ1作目を読んだ人
「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」に収録されている3つの作品は、いずれも読者の感情を揺らすミステリー小説となっています。
「猫と子供の円舞曲」では小学生の依頼人にほっこりとした感情を抱き、「誰が為の英雄」では依頼人の家族関係に大変さと希望を感じ、「偽りの刃の断罪」では何が良かったのかを考えさせられる展開にモヤモヤさせられます。
短編小説故の、様々な感情を味わうことができ、また、どの立場で小説を読むかでも感情を揺らされる小説となっているため、色々な感情を感じれるミステリー小説が読みたい人にオススメです。
シリーズ1作目の「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」を読んで、ヘビーなミステリー小説と印象づけられ2作目を読んでいない場合は、印象の変わる小説になっているのでぜひ読んでほしいです。
1作目を読んでいない場合は、1作目と同じ登場人物が活躍するので1作目から読むことをオススメします。
【あらすじ・感想】紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪(著者 歌田年)
猫と子供の円舞曲
紙鑑定の渡部が営む事務所に小学生の女の子・梨花が紙粘土のようなものの鑑定を依頼してきた。公園にいた怪我をした猫の近くに落ちていたらしい。梨花はクラスの男子を疑っていて…?渡部はプロモデラーの土生井からのヒントと土生井の弟子・野上からの情報により、フィギュア作家の團のもとに辿り着く。
シリーズ1作目の「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」に続き、鑑定士なのになぜか探偵のような副業をしている主人公の渡部。
今回の事件は小学生の女の子からの紙粘土のようなものの鑑定依頼からはじまります。
渡部が、夕ご飯用のお金だった千円で依頼をしてきた梨花に親身になって対応していて、子どもに優しい人という新たな一面を見ることが出来ました。
起きている事件は、悪質な事件で良くないものなのですが、話の結末としてはほっこりした結末になっていました。
1作目の『模型の家の殺人』は、後味としてもちょっと重い結末だったため、1作目とは印象が異なる展開でした。
誰が為の英雄
野良猫の事件をきっかけに、フィギュア作家の團と親しくなった渡部。團は知り合いからの依頼で12歳の男の子へのプレゼントとして、アメコミのキャラクターである「ブルー・ライダー」のフィギュアを作成していた。渡部と團で依頼人である男の子のお母さんのもとにフィギュアを届けに行くと、依頼人の家には同じ漫画の2巻のみが何冊も置かれていた。不信に思っていた2人だったが、その後依頼人から、フィギュアが息子に不評でバラバラになってしまったと連絡が来た…。
「誰が為の英雄」は、いままでのような事件ではなく困りごとを解決していくというようなお話です。「猫と子供の円舞曲」に続いて、子どもがストーリーの中心になっています。
依頼人の息子である翔はひきこもりの生活を送っています。
翔の納得のいくフィギュアを作るべく、渡部と團は翔が求めているものを探っていきます。
今回は渡部の人脈だけではなく「紙」の知識で解決に導くことができたお話だったなと思いました。
同時に子育ての大変さを実感するお話でした。。
偽りの刃の断罪
刑事の石橋が証拠品の鑑定依頼のため、紙鑑定事務所を訪れる。証拠品は懐紙を使用したラブレター。ラブレターをもらった貴理は告白を断り、別の男性・張本と結婚する。ところが貴理と張本が暮らす家に強盗が入り、張本は刺殺されてしまった…。貴理にラブレターを送っていた春見と貴理、張本の3人がコスプレしている写真が見つかり、春見に嫌疑がかけられた。しかし石橋は春見が犯人だと信じられず…?
「偽りの刃の断罪」はタイトルになっている作品です。
シリーズ1作目に登場した、刑事の中では理解のある刑事と描かれている石橋が証拠品の鑑定依頼をもってきます。
渡部の探偵業?は、渡部の人脈から詳しい人に情報を聞き、解決していくのですが、彼の人脈は石橋の特殊な依頼を今後の関係作りのために受けたりするように関係づくりを築いているんだな~と勉強になりました。
内容としては、人の命について考えさせられる内容となっています。
読み終わった後に、渡部と同じように何が正解なんだろうと考えてしまう作品でした。
【まとめ】紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪(著者 歌田年)
「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」は、シリーズ1作目「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」とは異なる感情を抱く、読者の感情を揺らすミステリー短編小説になっています。
シリーズ1作目では、プロモデラーの土生井が活躍しましたが今回はフィギュア造形家の團が活躍します。(土生井も登場します!)
また、この小説のテーマである”紙”についてシリーズ1作目より紙が事件解決のヒントに繋がっていることが多いのでよりテーマが生かされた小説にもなっています。
シリーズ1作目を読んで2作目の「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」を読んでいない人に、続きを読んでほしい小説です。
1作目を読んでおらず、興味を持っていただけた方は1作目「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」から読んでほしいです!
【PickUp】紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪(著者 歌田年)
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