辻村深月さんの『サクラ咲く』を紹介します。
【1行あらすじ】サクラ咲く(著者 辻村深月)
タイトル:『サクラ咲く』
著者:辻村深月
『サクラ咲く』を含む3つの作品の短編集です。
あらすじ:
『約束の場所、約束の時間』…体の弱い転校生と隣の席になった陸上部の男の子の友情物語。
『サクラ咲く』…高校に入学してからの新生活。図書室の本に挟んだメモから始まるのは…。
『世界で一番美しい宝石』…3人だけの映画同好会。「図書室の君」を主演に迎え、映画を製作することはできるのか。
【感想】サクラ咲く(著者 辻村深月)
3作品ごとに感想を書いていきます。
友情を築くきっかけ(『約束の場所、約束の時間』)
大人になったいま、友達ってどうやって作るんだっけと思うことがあります。
何気なく気を遣わず話せる友達がほしいと思っても、
何をきっかけに友達となるのかが分かりません。。
『約束の場所、約束の時間』を読むと、
好きなことが一緒であることが友情を築くきっかけとなることが分かります。
友達となる方法はいくつかあると思いますが、
このお話しでは、体が弱く大人しくて、所謂まじめな優等生タイプの転校生と、
陸上部で走るのが好きだけど少し不真面目なところがある男の子の二人が、
タイプは違うけれどもゲームを通じて距離を縮めていきます。
些細なきっかけから好きなものを共有して仲良くなっていく姿を見て、
なんだか少しうらやましく思いました。
このお話は読む人の立場によってどこに印象が残るかが変わると思います。
小さな勇気(『サクラ咲く』)
本を読むことが好きな主人公は、学校の図書室へ本を借りに行くと、
借りようと思った本に「サクラチル」と書かれた1枚の紙が挟まっていることに気づきます。
貸出カードを確認すると、同じクラスということは分かったけど名前がありません。
その後も主人公が読みたいと思った本に紙が挟まれていて・・・。
この作品の主人公は読書好きで、作品の中にも様々な小説が登場します。
『サクラ咲く』を読むと、自分も学生時代にこの本読んだな~と懐かしい気持ちになります。
私はこの主人公と是非友達になりたいです。
貸出カードの制度もいまや懐かしく思いますね。
貸出カードを見ると、この人は自分と好きな本が一緒なのかなと思って、
なんとなく嬉しくなったことを思い出しました。
主人公は自分のはっきりものを言えない性格に悩んでいます。
中学校からの友達や新しいクラスメイト、そして図書室での文通相手と関わり、
少しずつ変わっていく姿に勇気をもらえる作品です。
学校は誰のものか(『世界で一番美しい宝石』)
「―学校は誰のものなのかってよく考えるんだ」
辻村深月『サクラ咲く』(『世界で一番美しい宝石』)株式会社光文社(2014年発行)p231
こちらは『世界で一番美しい宝石』のなかで、主人公が発言したセリフです。
私自身、学校は誰のものかと考えて学生生活を送ったことはありませんが、
学生時代にこの作品を読んでいたら、
自分の味方になってくれる作品だなと思いました。
このお話では、3人だけの映画同好会のメンバーが映画を撮り、
同好会を部活に昇格させることを目指しています。
映画好きの主人公が同好会を新しく作った理由と、
部活動への昇格を目指す理由がとても深いです。
自分の好きなもの、好きなことを大切にしたいと再認識させてくれる作品でした。
【こんな人におすすめ】サクラ咲く(著者 辻村深月)
この本は下記のような人におすすめです。
・学校生活や青春がテーマの小説が好きな人
・読書が好きな人
・中学生や高校生
学校を卒業して久しく経った私が読むと、
懐かしさや学校という時間について良いなと羨ましく思える作品となっています。
学生時代にこの本を読んでいたら、また違った印象を持つのだろうと思いました。
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