藤谷治さんの『誰にも見えない』を紹介します。
勇気がもらえる
主人公に共感する
読みやすい
【あらすじ】誰にも見えない(著者 藤谷治)
瑠菜は同じ塾に通う愛子と一緒に私立中学を受験し、晴れて合格し入学してからも一緒に通学していたけど、徐々に距離を感じるように。親友って「親友だよね?」って確認し合わないものだよね?愛子目当てで同じグループで過ごしていた美人の浅川博子とは急接近!自分のことしか考えていない母と仕事一筋の父は理想の中学生像を押し付けてくる。瑠菜はノートに人に言えない自分の気持ちを吐く。
【こんな人におすすめ】誰にも見えない(著者 藤谷治)
この本は下記のような人におすすめです。
・学生や学生を家族に持つ親
・疎外感を感じている人
主人公の瑠奈が、自分のことばかりな両親や友達に対して私のこと見えてる?という気持ちをノートに吐き出して消化させていこうとする物語です。小学生~高校生くらいの学生にオススメしたい本です。また学生を家族に持つ親にもオススメしたい本です。自分の子どもに同じような気持ちにさせていないか、向き合うきっかけになる本になると思います。
孤独、疎外感は大人になってからも向き合っていかなければならないことです。生きていく上で不安感を抱いたり、人間関係に悩んでいる人にも、人との付き合い方のヒントを得ることができる本です。
【感想】誰にも見えない(著者 藤谷治)
人に言えない気持ちをノートに書く
主人公の瑠菜は、情緒不安定に陥ったときにノートに自分の感情を書き連ねています。ストーリーは、瑠菜が友達の愛子や浅川博子との関係、自分の両親との関係について起こった出来事に対し、どう思っていたのかを回想しつつ書いている様子を読者が読むという形で進みます。
この本の最初の1、2ページは瑠奈のその時の鬱憤を吐き出していることが伝わり、小説としてはとても衝撃的な書き出しでした。
この人に言えない気持ちをノートに書くという行為、良いなと思いました。
人に言えない気持ちをノートに書く
昨今はSNSに匿名で投稿ができるので、SNSに実際に言えないことを投稿する人たちもいると思います。いわゆる裏垢を作ったりして。でも裏垢ってバレて問題になることがあると思います。ノートだったら自分の手元に隠して置ければ、世間にバレることはないです。どんな罵詈雑言を書いても問題ないですしね。
書くことによって、ストレス発散になり気持ちがすっきりしたり、自分の本当の気持ちと向き合うことができるので、瑠奈のように心に抱えていることがある人は試してみても良いかと思います。
でもやっぱり、知らない人についていくのは駄目
友達、家族との付き合い方に悩んでいる瑠奈は平日に学校をさぼり、1人電車に乗ります。降りた駅の喫茶店でお爺さんと出会います。
お爺さんに最期に思い出の山に登りたいからついてきてほしいと頼まれた瑠奈。小説内では杖をついたヨボヨボの老人という描写がされています。瑠奈は一緒に山に向かうことにしました。
いくら杖をついたヨボヨボの老人といっても…!知らない人についていくのは駄目!大分怪しいお爺さんに個人的には思えましたよ!!
でもこのお爺さん、一生懸命、山に登りながら瑠奈に人生について語っていました。
「そんな人に、出くわしたら、相手にしちゃ、いけない。無視しても、だめなら、いいかい、走って逃げるんだよ。学校にいようが、会社にいようが、どこにいようが、とっとと走って逃げるんだ」
藤谷治『誰にも見えない』株式会社小学館(2010年5月12日 初版第一刷発行)p175
”人でなし”に出会ったら逃げる。
とても共感しました。逃げても良し。
コメント